フードデリバリーで売れる店舗を作るには?(後編)

フードデリバリーの事業構造を理解して、伸ばすために必要なポイントを抑えることで、売れる店舗を作り出す。前編では、自社のブランド・業態を定めるために
①マーケットサイズを認識する
②デリバリーに適した専門業態を選択する

の2点を解説しました。

後編では、自社ブランド・業態が定まった上で売上を最大化するために

③製造効率を最大化して理想的な告知時間を維持する
④フードデリバリーのコスト構造を認識して、製造人件費をコントロールする

について解説していきます。

③製造効率を最大化して理想的な告知時間を維持する

「①マーケットサイズが大きい×②フードデリバリーに適した専門業態」から業態案が決まったら、次に考えたいのは製造効率です。フードデリバリーで売れる時間は基本的には、お昼(11時半〜13時)・夕方(17時〜18時半)頃に集約されます。つまり、この限られた時間内で如何に件数を捌けるかが重要です。どれだけ美味しくとも、提供するのに20分もかかるようなメニューを作ってしまうと、残念ながら時間辺りの売上を伸ばすのは非常に難しくなります。

また同時に、告知時間(お客様に何分で届けられるか?の目安時間)も非常に重要です。10分単位で時間が伸びる度に、「注文数=表示回数×クリック率×注文率」で見た際の注文率が下がってしまいます。お届け目安時間は常に30分以内になっている状況を作る事が理想的です。

高速提供を可能にし、常に告知時間を30分以内に設定しておく。これができればより売上を伸ばしやすい環境を作る事ができます。ただ残念ながら、飲食店の延長でフードデリバリーに参入してしまい、メニュー自体は美味しいにも関わらず機会損失を大きく出している企業も多い状況です。飲食店事業とフードデリバリー事業は似て非なるものと認識した上で、実行に繋げていきたいところです。

④フードデリバリーのコスト構造を認識して、製造人件費をコントロールする

また同時に、考えたいのはコスト構造です。飲食業界では一般的にFLコストという捉え方で、食材原価(Food)と人件費(Labor)を分けて考えます。しかしフードデリバリーは飲食業ではなく製造業です。食材原価と人件費を分けて考える必要はなく、原価=食材原価+製造原価として原価管理を行い、高速で料理を作り続けられるように生産性を伸ばしていく必要があります。下記が簡易的なPL(減価償却は含めず)です。

如何に原価(=食材・包材原価+製造人件費)を抑える事ができるかどうか。それがゴーストレストランで利益を出せるかどうかのポイントになる事が伝わると思います。製造人件費がこれ以上かかる場合、途端に利益はなくなります。逆に言えば、この製造人件費率をキープしつつ売上の天井を高めていき、家賃などの固定費率を如何に下げる事ができるか。安定した利益を出していくには製造人件費率をコントロールして固定費を圧縮することが必須です

前編からの内容も含め売れるデリバリー店舗を作るには、

①マーケットサイズが大きい領域を選ぶ

②デリバリーに適した専門業態を展開する

③提供時間を圧縮して注文からお届けまでの告知時間を30分以内にする

④誰でも製造できる仕組み化を実現し、製造人件費を抑える

この4点が極めて重要です。この辺りのポイントを捉えて素早い立ち上げを実現するとエリア展開やフランチャイズ展開も可能になり大きな売上拡大が現実味を帯びてきます。デリバリー需要が高まっている今しっかりとポイントを抑えておくことで、デリバリーのブランド資産を構築していきたいですね。

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