フードデリバリーで売れる店舗を作るには?(前編)

デリバリー事業を立ち上げたものの期待していたほどの売上になっていない事業者の方も多いのではないでしょうか。一方、周りを見渡すと短期間でデリバリーブランドの立ち上げに成功したブランドも存在します。成功したブランドと自社の違いは何でしょうか?味の違いでしょうか?多くの場合は味が原因ではなく、フードデリバリーの事業構造を理解して、伸ばすために必要なポイントを抑えているかどうかです。飲食業の延長で捉えていると、上手く伸ばすことは難しいことが多いのが現状です。

フードデリバリーをを展開していく上で、単一ブランドではなく複数ブランドで展開されるケースも多いと思います。特にゴーストレストランと言われるビジネスモデルでは、製造数を最大化して売上を伸ばし続ける必要があります。そのためには、単一ブランドを強化するのももちろん大切ですが、自社の業態がその立地で適しているかを高速で検証していく必要があります。

今回のコラムでは売れる店舗を作っていくために考えるべきポイントを順に紹介していきます。
前編では、立ち上げ初速を上げるために
①マーケットサイズを認識する
②デリバリーに適した専門業態を選択する

の2点を解説していきます。

①マーケットサイズを認識する

特にUberEATSや出前館などのプラットフォーム上で販売していく場合、初速が非常に重要になります
注文の方程式で考えると、

売上=表示回数×クリック率×注文率×注文単価

プラットフォームに新規店舗登録されて間もない頃=表示回数が見込める内に一定数の販売実績を作らなければ、それ以降はプラットフォーム内で埋没=表示回数が全く伸びないという状態に陥ります。表示回数がなければ、どれだけ美味しくとも売ることは難しくなります。だからこそ、ブランド立ち上げの段階で今回立ち上げたブランド・業態がその立地で適しているかの検証が必要になります。

UberEATS上での店舗の約70%が月商30万円以下、さらに約20%の店舗が月商5万円以下と言われています。では、UberEATS上の7割の店舗は美味しくないのでしょうか?実際には美味しい・美味しくないの土俵に上がる前に、表示回数が全くなく、完全に埋没している店舗が多いのが現状です。まずはこれを打破するために何ができるか?これを考え、実行していく必要が出てきます。

まず業態選定の際に考えるべきは、市場規模です。店舗の売上を

売上=マーケットサイズ(1人あたり年間支出額)×商圏人口×シェア

と捉えた場合に大切なのは、ある程度大きいマーケットサイズの業態を選んでいるか?ということです。マーケットサイズが小さい場合、その商圏で圧倒的なシェアを獲得するか、ものすごく広範囲の配送を実現しない限り、事業としては成立が難しくなります。飲食店の場合、フレンチやタイ料理などが地方都市のロードサイドで成り立たないのはこのような背景です。どれだけ美味しくとも、マーケットサイズが小さすぎると商売にならないと言えます。フードデリバリーで業態を決める際にも、まずはマーケットサイズが大きいものから検討する。このように進めていただければと思います。

②デリバリーに適した専門業態を選択する

次に考えないといけない点として、マーケットサイズが大きかったとしても、それがフードデリバリーに適した業態かどうか。この視点も非常に重要です。フードデリバリーをゴーストレストランとして展開していく場合、総合型の業態よりも専門業態として複数ブランド展開した方が売れやすい場合が一般的です。

特にゴーストレストランでは、UberEATSや出前館などのプラットフォームで販売していく際に、元々の飲食店舗で圧倒的な認知やブランドがない限り、埋没してしまいます。「売上=表示回数×クリック率×注文率×注文単価」という観点で考えた場合、総合型業態にするとそのブランドは何屋なのかを理解してもらえず、クリック率も下がり結果的に注文数を伸ばす事ができません。せっかく新規店舗に載っていたとしても、お客様が何屋か分からずクリックせず、そのまま埋没してしまうケースは多々あります。だからこそ、専門業態として分かりやすさにこだわり、単品を磨いていくかが、フードデリバリーにおける売上成長において重要と言えます。

上記をまとめると、

①マーケットサイズを認識する
②デリバリーに適した専門業態を選択する

この2点を抑えていく必要があります。

最近ではゴーストレストラン専門業態を作り、それをエリア販売やフランチャイズという形で全国展開を狙う企業も増えましたが、必ず上記のポイントを抑えています。唐揚げ専門店やとんかつ専門店、グルメハンバーガーなどが有名ですが、もれなくマーケットサイズが大きく、フードデリバリーに適した専門業態になっています。

後編では、自社ブランドが定まった上で売上を最大化するために

③製造効率を最大化して理想的な告知時間を維持する
④フードデリバリーのコスト構造を認識して、製造人件費をコントロールする

について解説していきます。

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