フードデリバリーの始め方

コロナウイルスの影響もあり、テイクアウト・デリバリー・通販など、イートイン以外の「店外売上」に活路を見出そうとされる飲食店企業も多いと思います。

その中で、UberEATSや出前館などを筆頭に話題になりやすいフードデリバリー。いざ始めるとして何から始めて行けば良いのか?本コラムでは、始め方に関して説明させて頂きます。

1.営業許可について

デリバリーを行う上で、基本的な営業許可は通常の「飲食店営業」で基本的には可能です。(自治体によって少しずつルールが異なる為、念の為保健所に確認した方が間違いないです。)その為、商品内容さえ決まれば、手続き上で頓挫することなく始めやすい事業になります。

2.販売について

フードデリバリーの業務ステップは大まかに分けると、①販売する ②製造する ③配達する の3ステップに分けることができます。まずは販売について、内容を見ていこうと思います。

i)プラットフォームで売る

自社での顧客基盤やSNSの情報発信ツールで母数がない時、なかなか自社で販売強化していくのが難しいと思います。その時には、UberEATSや出前館を活用し、そもそも人がいる状況の中で販売強化を行う方が良いと言えます。しかし、手数料は35%〜40%発生しかつ、お客様の情報を得ることもできない為、どこかのタイミングで自社販路に切り替える前提で行うのが良いと言えます。

また、プラットフォームで売れる商品・売れない商品。これには大きな差があります。プラットフォームに載せるということは、イオンなどのショッピングモールに出店することと基本的には同じです。そのような場合、「なんでもあります!」という総合店よりも「これにこだわっています!」という専門店の方が売れやすいですよね?フードデリバリーに関しても上記は同じですので、自社のブランドに固執することなく、専門店展開で売れる単品専門店を構築した方が売上は伸ばしやすいと言えます。

いわゆるゴーストレストランと言われる業態になりますが、1つの厨房で複数の単品専門店のブランドを立ち上げ、それをプラットフォーム上で一気に販売していく。このようなフードデリバリーの形態も、プラットフォームで売るには適していると言えます。

ii)自社販路で売る

ストアロイヤリティが高いブランドを持っていたり、会員制度などで顧客基盤がしっかりしている企業の場合は、ぜひ自社販路で販売強化を行ってもらえればと思います。その為に必要なのは、簡易でも大丈夫ですので、販売できるサイトを構築することです。現在、フードデリバリーの注文は電話7割・ショッピングカート3割くらいです。双方のニーズを取りこぼさないよう、しっかりと販売先を設けておくことは大切です。

販売できる落とし所があれば、あとはそこへの誘導です。紙媒体で言えば、直近はコロナの影響もあってポスティングが非常に有効です。通常のポスティングは反響率が0.3%と300枚強配布して1件の注文があるかどうか?という状況ですが、最近では反響率が3%前後と非常に高い状況が続いています。単純計算で、10,000枚配布すれば300件程の注文を得られる計算になります。その際、ポスティングから直接電話でも大丈夫ですが、落とし所を上述の販売サイトにしておき、再度注文してもらい易くする仕組みを作っていければと思います。

それと同時に、「受注管理」「顧客管理」も必要になります。フードデリバリーは住所を必ず伺う必要がある為、受注管理と顧客管理をしっかり行っていない場合、毎回毎回受注の電話で時間が取られることになります。これはお客様にとっても、店側にとっても非常に負担が大きいと言えます。しかし、お客様情報(お名前・住所・各種連絡先)をしっかり把握しておけば、リピーターのお客様には、日時と必要商品を伺うだけで業務が完了します。また、その時の注文が何回目か?これの把握しておくと、常連様へのきめ細やかな対応も可能になりますし、常連様の離脱発見もし易くなります。お客様の手間、そして自分たちの手間。これを無くす為にも、「受注管理」「顧客管理」の手間は無くしたいところです。

3.製造する

受注が入った後は商品を作ることになりますが、もし「当日対応型」の事業モデルを構築する時には、いかに早く作ることができるか?これはポイントになってきます。最も理想的な形は、「注文から30分以内で届けることができる」、これが最もお客様の離脱を無くして注文を増やす形になります。商品が何分後に届くか?これが長くなればなる程、お客様の注文率が下がるデータがあります。一般家庭の方であれば、ある程度お待ちいただくことは可能ですが、企業・団体の場合はお昼休憩の時間が限られています。お客様にとって60分の休憩時間のうち、もしお届けまでに50分かかるなら?もし頼みたかったとしても、物理的に注文することはできないですよね。

このような背景からも、フードデリバリーは如何に早く製造することができるか?(製造15分+配達15分)この辺りを基軸に組んでいく必要があります。

4.配達する

多くの企業が、「どう配達すれば良いかわからない」と悩まれていると思います。ただ、ここに関してはコロナによる特別な対策として、国土交通省が特例措置としてタクシーによるフードデリバリーを可能にしています。9月末まで措置が延長されたこともあり、全国で900社を超えるタクシー企業がフードデリバリー事業に参入することになりました。この辺りは積極的に活用していき、自社で配達する人員を抱えずに展開していきたいところです。

また配達にかけるコストはいくらくらいに設定すれば良いのでしょうか?基本的に配送にかけるコストは売価の10%未満に抑えることが重要と考えられています。仮に5,000円の総注文(税抜)だとすると、配送にかけるコストは500円にしていただければと思います。これを基準に配送料金を組んで行けば結構です。最近の一般的な傾向で見ると、片道15分の配送時間であれば配送料金500円くらいを頂戴することが多いです。自社配送であれば、行って・帰って30分の距離ですので、時給換算すれば約500円。ちょうどお客様からいただく送料と合致します。またタクシー配送の場合でも、エリアによって金額はまちまちではありますが、お客様から頂戴する金額が500円前後になるケースが多いです。

以上で、営業許可を獲得してからの「①販売する →②製造する →③配達する」の3ステップを大まかに説明させて頂きました。ここで普段の飲食店営業と大きく異なる点を挙げるならば、フードデリバリーは飲食業というよりも、製造業の方が業態としては近いということです。つまり、原価率が高い・低いだけの視点ではなく、それを作るのに何分時間がかかったのか?という、製造人件費も含めて原価計算が必要になってきます。仮に原価率が非常に低い料理を開発したとしても、製造に非常に手間がかかってしまう場合、アルバイト・パートを巻き込んでいく上で人件費が余分にかかってしまい、利益率が非常に低くなることが多くあります。あくまでも、製造人件費を入れた上で原価率が何パーセントになっているか?ここの視点は大切にしていただければと思います。

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