フードデリバリーの利益率はどれくらい?

フードデリバリーを始めたいけど、本当に利益が出るのが不安。どれくらいの利益が出るのかが見込めない。今からフードデリバリーを始めるにあたって、このような不安や疑問を持たれている方も多いと思います。今回のコラムでは、フードデリバリーの利益率を様々な事業形態に分けて紹介させて頂きます。

一口にフードデリバリーと言っても、「①飲食店がメインで片手間でUberEATSなどに出店している」「②ゴーストレストランとしてUberEATSや出前館にて専門店展開を行っている」「③自分達で配送を行なって仕出し展開を行っている」など様々だと思います。この事業領域によって収益性も大きく変わってきますので、今回はそこを深掘りして見ていこうと思います。

①飲食店の営業をメインとして、UberEATSや出前館を付加している

現状のコロナの環境下ではこのパターンの飲食店さんが非常に多いと思います。手数料35%〜40%発生するのは重たいが、自分達で販売するパワーもかけられないし、配送の人員も避けない。選択肢がないということもあり、取り急ぎできるところから始める企業が多いと思います。

このような事業形態の場合、一般的な収益モデルは下記が多いです。プラットフォームの手数料のコスト比率が高く、イートインで出している原価率30%〜35%をそのままかけると利益が出ないのがわかると思います。また一般的な1ブランド辺りの月商50万円という水準に対して、最低限でも10万円は利益を残したい。これらの観点から、売価自体を高めて原価率の帳尻を合わせています。(ここに包材コストも含む)また人件費に関しては、接客は不要なため、製造の人件費のみを計上しています。生産性を高める為には、いかに早く簡単に作れるものをメニュー化するか。ここが大切になるのがわかります。


②専門厨房を設け、UberEATSや出前館に複数ブランド出店している(ゴーストレストラン)

最近だと「ゴーストレストラン」と言われる手法ですね。UberEATSや出前館などプラットフォームと呼ばれる媒体に出店するというのは、イオンなどのショッピングモールに出店することと似ています。つまり、総合的な業態はあまり選ばれ辛く、有名店や専門店の切り口の方がより支持されやすくなります。また専門店に関しても、ある程度商材としての市場規模が大きい方が人気です。このような考えから、ハンバーガーや唐揚げなど、市場規模が単体で成り立つものを筆頭に1拠点多ブランド展開する企業が増えています。

しかし、1拠点多ブランド展開するということはアイテム数が増えるということ。アイテム数が増えれば増える程、食材管理の手間とミス、また生産性の悪化に繋がりやすくなります。その為、なるべく食材自体は統一し、調理方法を変更して複数ブランドを構築することが多いです。唐揚げ専門店を立ち上げつつ、他の鳥料理の専門店を構築するイメージですね。上述のように、1ブランド辺りの売上は50万円前後になりやすいからこそ、それを5ブランド同時に立ち上げて、250万円くらいを狙っていく感じです。

ここで注意すべきは、コストの大半が変動費ということです。一般的に、飲食店経営は固定費が多くかかってきます。そのためオープン当初は固定が大きく乗ってますが、一定の売上規模を超えるとその分利益率を改善しやすい傾向にあります。しかし、ゴーストレストランで事業展開していく上では、売上に占めるコストの大部分が変動費になってきます。つまり、立ち上げ当初はコスト小さく抑えられるメリットが有る一方で、事業が立ち上がってくると儲けても儲けても、利益額は大きくなれども利益率自体は大きくなり辛いという問題点はあります。その為、ゴーストレストランとしてプラットフォームに複数ブランド展開つつも、利益率を高められる自社ブランドも別軸で持っておいた方が事業の安定性という視点では良いと言えます。

コストの大多数を変動費が占める為、利益率を改善し辛い問題はありますが、反面成長期のビジネスである為、売上が伸ばしやすく、かつブランド展開としての初期費用もほぼかからないという側面から、事業モデルのテストはしやすいメリットもあります。メリットとデメリットがはっきりしているビジネスモデルになりますので、その時々での会社の実情に合わせて展開していきたいですね。

③全て自前でデリバリー展開を行う

最も超えるべきハードルが高い領域ではありますが、一度収益化すれば非常に儲かるのが自前でデリバリー展開を行うパターンです。まず売上が安定しやすい理由としては、顧客基盤を作りやすいという点です。上述のプラットフォームに載せるということは、集客や配送の手間を委託できる分、肝心の顧客データの取得が困難になると言えます。その為、たくさん作ったとしてもお客様の顔が見えない状況ですし、かつこちらからお客様にアプローチしたくてもできない状況になります。本来、デリバリービジネスの利点はお客様の顧客情報を細かく把握できるという点です。常連のリピーター様が一定期間注文がない場合、どうアプローチするか?今回のご注文が「10回目」など記念すべきタイミングにどのようなフォローを行うか?お客様の誕生日月のご注文でどのようなサービスを行うか?など、お客様の顧客情報があればある程、細やかな1対1の対応が可能になります。このような対応力の差が、安定した売上基盤に繋がっています。

またそれ以外の収益性のポイントとしては、手数料が発生しない分を原価にかけられるということです。今後飲食産業が生き残っていく上には、利益率の改善は必須です。その為には売価自体を高めなければ、各種原価や人件費が高騰している中で厳しいところがありますが、実情は値上げ=客離れと厳しい状況になっています。プラットフォームに載っている企業は売価を高く設定し、一方原価率は20%と低く抑える傾向です。そのような店舗と競争する上で、商品力自体の差別化を図るため食材原価率を高められる事自体が強みになります。

ネガティブな点としては集客活動も自社で行う必要があるという点です。プラットフォームに載せるということは、そもそもそこにお客様が多くいらっしゃる状況なので、商品が支持されれば売上を伸ばすのは比較的容易と言えます。しかし自社チャネルの場合、そもそもお客様が全くいない状況で事業を行うことになるので、各社の「売る力」の差が顕著に出ます。集客活動としては基本的に3つで、①WEB媒体:SEO対策やリスティング・SNSなど ②紙媒体:ポスティングやフリーペーパーなど ③人的営業:法人や団体への直接の営業 などになってきますが、ここのやりきり力が大きな差になってきます。ベースの売上が伸びればもちろん広告宣伝費率がより下がる為、利益率の改善を得られますが、まず第一歩として損益分岐点を超えるまでの活動が大変な領域になります。

以上で、最近のフードデリバリーにおける主要モデルの利益率の紹介をさせて頂きました。全てにおいて一長一短あるとも言えますので、リスクを抑えながらの展開としては、①→②→③の順番のように着実に売上のベースを増やしつつ展開していくのも良いかと思います。

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